【生産者 SPECIAL STORY】エガワコントラクター:農地開発の専門家が作るアスパラガスは、次世代の農家を育てる
畑ちがいなわけじゃない!建設業が農業にチャレンジ
ラーメンと蔵のまちで知られる喜多方市。情緒あふれる街並みは、今でも酒や味噌、醤油を作る蔵が立ち並ぶ。そんな蔵のまちは初夏から秋口まで旬を迎える「アスパラガス」も有名で、福島県内では会津地方、特に南会津と喜多方周辺が産地だ。
「喜多方では米、アスパラガス、トマト、きゅうりを生産している農家が多く、うちでも力を入れています」と話す、代表取締役の江川正道さん。
江川さんの実家はもともと建設会社を営んでおり、田んぼや畑、用水路などを整備する農業土木が専門。「うちでは土地を耕す重機もノウハウも持っているため、本業の強みも生かすことで農地の整備にもつながっていく。まさに一石二鳥というわけです」と話す江川さん。
しかし農業土木を専門とする建設業者がなぜ農業をはじめたのか?その答えは「農地を整備しても就農者がいないから」と震災後に実家を手伝うために戻ってきた江川さんも「その時は『え?農業やるの』と思いましたが、先代もやっていることだし、まあ、なんとかなるだろうと思いました」と当時を振り返る。
本人よりお客様。本当の魅力は食べた人が拡げてくれる
農作物を栽培するにあたりいろいろな種類を検討した結果、選んだのはアスパラガスだった。
江川さんは「アスパラガスの栽培は野菜よりも果樹に近いんです。種を蒔いて出荷できるようになるまで3年を要します。その期間は刈り取らずそのまま伸ばし光合成させます。そうすることで株や根に養分が蓄えられます。そのキャパが大きくなることで良いアスパラガスが育つわけです。それに養分を残すために全てを収穫しないことも大切」と教えてくれた。
地中の株や根は養分を蓄える貯金箱。その箱が大きくなればなるほど良いものが育ち、収穫高も増えるということになる。
肝心の美味しさについては…?
「じつは美味しさは気にしていません。作っている人が言うより食べてくれた人たちの感想のほうが信用できるでしょう」とさらっと答える。
江川さんが育てるアスパラガスのファンは首都圏を中心に全国規模。実際に食べたお客様が美味しさを口コミで拡げてくれるそうだ。「ありがたいことに評判が飲食店に届き、ミシュラン一つ星のレストランからも引き合いがありました。こうした人と人とのつながりって大事にしていきたいですね。そのためにも良いものを作らないといけませんね」と話す。
農地の整備が農業を次世代につなげていく
江川さんは自らの役割について「うちの本業はあくまで農業土木。耕作放棄地や荒れ地を整備して農地にすること。でも喜多方市の第一次産業である農業のことを考えると、次世代につなげていくことも役目だと思っています」と話す。
次世代に農業を伝えていくためにエガワコントラクターでは地元の幼稚園から高校生まで農業体験を行っている。この体験で農業の楽しさや農作物が育つ喜びを味わってもらいたいという。
「うちでは独自に収穫イベントなども行っていて、参加者も多彩。こうした場を設けることで地元だけでなく、県外の人にも農業を体験して興味を持ってもらいたいですね」と続ける。
農地を整備することで農業の間口を拡げ、次世代につなげていく。江川さんの取り組みが喜多方の農業を伸ばしていくにちがいない。
生産者インフォメーション
エガワコントラクター
WEB | https://www.egawacontractor.com/ |
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住所 | 福島県喜多方市関柴町上高額字上中1175-8 |
TEL | 0241-23-5418 |
オンラインストア | https://www.egawacontractor.com/shop/ |