【生産者 SPECIAL STORY】カトウファーム:美味しいお米は生きるための糧となる。笑顔が紡ぐ米作りの大切さ
サラリーマンから農家へ転身。祖父から受け継いだ地で米作り
福島市の中心地から20分ほど西へ行くと、四季折々の恵みが実る果樹畑と秋の収穫時には黄金色の絨毯を敷き詰めたような田園地帯が広がっている。
そんな昔ながらの風景を残す地で、2009(平成21)年から米作りに取り組んでいるのが、株式会社カトウファームの加藤晃司さんだ。
「この田んぼはこの辺りの農地の開発・整備を請け負っていた祖父の借地だったもの。それを受け継ぐ形になりました。それまでは建設業や運送業、スポーツインストラクターなどまったく関係ない仕事をしていましたね。真逆と言ってもいい転身ですが、子どもの頃から田植えや稲刈りなどの手伝いをしていましたので、全く知らないというわけでもありませんでした。とは言え、春先に行う床土(とこつち)作りや田起こしなど基礎的なことは教わりました」と加藤さんは転身の経緯を振り返る。
美味しいお米を作るために些細なちがいにこだわる
2014(平成26)年、これまでの体制を一新し株式会社カトウファームを設立。翌年には農地開発までできる農業生産法人となる。「美味しいお米を作って多くの人に提供していくには田んぼを拡げなくてはいけません。農業生産法人となったのもその目的があったから」と加藤さん。カトウファームの田んぼは全体で50ヘクタール(東京ドームおよそ11個分)。その広さは福島市内でも指折りだという。「うちの田んぼではコシヒカリやひとめぼれ、福島県のオリジナル品種である天のつぶを栽培しています。田んぼによって栽培している品種が異なっているんです。だから田植えの仕方も農薬の種類も散布の量も異なります」と教えてくれた。
カトウファームで栽培される天のつぶだけでも農薬使用量が半分のもの、海鳥やコウモリの糞の有機肥料を使ったもの、地元で採れたくだものを使用した液肥と海藻エキスを散布したものなど、4種類もある。
なぜそんなに手間を掛けるのか――。
「なんだかんだ言ってもお米は我々の生きる糧だし、美味しいお米が食べられるのは幸せなことだと思うんですよ」と加藤さんは答えてくれた。
お米でつなぐ人の縁。笑顔が集う場所を作りたい
加藤さんに米作りを通した今後の展望について聞いてみると「地元の飲食店にうちの美味しいお米を使ってもらいたいですね。あと音楽とビールと農業を絡めたフェスをやりたいですね」。
音楽?ビール?フェス?
「じつはうちの社員の一人に中学の先輩で地元では有名な“歌うたい”がいるんですが、仲間のミュージシャンにも集まってもらい音楽を楽しむ。そしてうちで醸造しはじめたクラフトビールで喉を潤してもらう。さらに収穫したお米や地元の食材を使った料理を堪能してもらう。そんなフェスをやりたいですね」と、加藤さんはなんとも楽しげなコラボレーションを考えているようだ。
「祖父の田んぼを受け継いで失敗や震災などいろいろありましたが、たくさんの人の応援のおかげで楽しく米作りに励んでいます。これからも美味しくて笑顔がこぼれるようなお米を作って、たくさんの方に届けていきたいですね。この地域の農業を盛り上げながら、これからもがんばります」。
米作りを通した加藤さんの展望は広がるばかり。しかしその展望が実現するのはそう遠くはないのかもしれない。
生産者インフォメーション
カトウファーム
WEB | http://katofarm-f.jp/ |
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住所 | 福島県福島市大笹生字横掘12-1 |
TEL | 024-557-9690 |
オンラインストア | https://katofarm.thebase.in/ |