【生産者 SPECIAL STORY】鈴木農園:こだわりを持って育て続けるぶどうは、一粒一粒にお客様への「想い」がつまっている
稀にみる恵まれた土壌で栽培される至高のくだものたち
「いで湯とくだものの里」として知られる飯坂町は、古来より湧き出る温泉と広大な果樹畑が広がっている。特に町の東側に位置する湯野・東湯野地区は、さくらんぼや桃、ぶどう、リンゴなど“フルーツ王国ふくしま”を代表する場所だ。
「この辺りは見ての通り一帯が果樹畑です。春にはさくらんぼや桃の花が咲き誇り、とても綺麗な風景が広がります。でも私たち果樹農家は農作業が本格化するので大変ですけどね」と笑いながら話すのは、鈴木農園の3代目である鈴木満さんだ。
「飯坂町で果樹の栽培が始まったのは戦後まもなくだと聞いています。うちではリンゴ栽培から手掛け、そのあと桃、ぶどうと果樹を増やしていきました。以来、種類と品種を絞って栽培しています」と鈴木さん。
しかし果樹地帯で種類を絞るのはどうしてなのだろうか?
「ここ東湯野地区にある松原山は土壌の改良材であるゼオライトが豊富に採掘されます。この土壌は果樹栽培にとても適していますが、面白いことに区域ごとに土壌がちがいます。だから桃に適した場所、ぶどうに適した場所がそれぞれあるんです」
希少なぶどうを育て続けるこだわりがリピーターを生む
鈴木農園が位置する地区は、全体で傾斜があり、水はけがよく、ぶどうの栽培に適しているという。そんな中、鈴木農園で手掛けるぶどうは高尾とシャインマスカット、さらに幻のぶどうと言われる黄玉だ。
「メインで栽培しているのは高尾。この品種は東京の試験場で開発され、東京のほか山形、福島で栽培に成功した品種です。大粒で種もなく、酸味が少なく甘さたっぷり皮ごと食べられます」と鈴木さんは話す。
主品種の高尾は、日本での生産量は1%にも満たないほどの希少品種。その理由は、冬の寒さや病気に弱く手間がかかるため、生産者がより手間がかからないシャインマスカットなど、他の品種に移行したからだ。
鈴木さんは「高尾の栽培が難しいことは確かですが、先代から受け継いできたものですし、美味しい高尾をお客様に食べてほしいという、私たちの想いが込められているので、容易に止めるわけにはいきません」と高尾を栽培し続けることにこだわる。
そのこだわりが、県内外問わずリピーターが多い理由なのかもしれない。
美味しいを届けるのではなくお客様の期待に応えるものを届ける
本当に美味しいものは口コミで広がっていくもの。鈴木農園でも「美味しかったから知り合いにも贈りたい」と、贈答用として購入するお客が多いという。
「お客様がお客様を呼ぶ。先代の頃から毎年リピートしてくれるのはとてもありがたいですよ。でもその分、期待を裏切らないように良いものを作らないといけないという、緊張感があります」と苦笑いする鈴木さん。
鈴木農園のモットーは「美味しい」より「想い」を届けることだという。
「うちで作っているくだものは、食べたお客様に喜んでほしいという想いを込めて作っています。少しでもそれが伝わればうれしいです」と鈴木さん。一つ一つ、丁寧に愛情を込めて育てた鈴木農園のくだものは、美味しさ以上に真心を感じるにちがいない。
生産者インフォメーション
鈴木農園
WEB | https://www.suzuki-fruits.com/ |
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住所 | 福島県福島市飯坂町東湯野字畑中1-5 |
TEL | 024-542-0874 |