【生産者 SPECIAL STORY】安斎果樹園:半世紀続く果樹農家の誇りを胸に、美味しいくだものを多くの人に届ける
果樹農家の3代目となる覚悟は幼い頃から持っていた
“いで湯とくだものの里”のキャッチフレーズがつく「福島の奥座敷」飯坂温泉。宮城県の鳴子温泉、秋保温泉とともに奥州三名湯に数えられる温泉地の一帯は、果樹畑が広がるくだものの宝庫だ。この豊かな果樹地帯で半世紀以上に渡り果樹の栽培に取り組む安斎果樹園は、サクランボや桃、柿、リンゴを手掛ける。
「昔、この辺りは養蚕が盛んでほとんどが桑畑だったようですが、戦後には養蚕を営む家が減り桑畑から果物畑へと代わっていったそうです。うちも祖父が1960年頃から果樹栽培にシフトしていきました」と代表を務める安斎忠幸さんはこの辺り一帯の歴史について紐解く。
祖父の代から数えて3代目になる安斎さんは幼い頃から、家の手伝いをしていたそうで「小学生の頃から将来自分も果樹栽培をするんだろうなと思っていました。両親に家を継いでくれと言われたこともなかったので、勝手に運命づけていたのかもしれません」と話す。
ひと筋縄ではいかない。試行錯誤の繰り返しが実を結ぶ
高校を卒業後、東京で農業について学んだのち家業を手伝うようになった安斎さんは「友人たちは就職活動していましたが自分はまったく。卒業した春からすぐに果樹農家になりました」と振り返る。
この辺りは春になるとくだものの花がいっせいに咲き誇る。6月のサクランボから始まり、桃、梨、ぶどう、リンゴなど初夏から12月頃まで美味しいくだものを楽しむことができる。小さい頃から手伝いをしてある程度のことはわかっていても、学ぶことばかりだったという安斎さん。
「農業は技術や肥やし、農薬も日々進化しているので勉強することばかり。ほかの産地に見学に行くこともあります。栽培について指導会も頻繁に行われて、まさに日進月歩」
確かに果樹栽培に限らず農業は毎年のことながら、マニュアル通りにいくわけでもなく試行錯誤の繰り返しが必要なようだ。
「自然相手ということもありますが、品質よく美味しいくだものを作るためには我々生産者が丹精を込める必要があります。大変な分、楽しくもありますよ」と安斎さんは笑う。
美味しいくだものを作るために、自らが楽しんで続ける
安斎果樹園では、減農薬栽培や有機質肥料を使った土づくりなどの“自然の力”、そして“家族の力”を合わせて、より美味しく安全なくだものづくりに取り組んでいる。その分、手間はかかるがお客様により美味しく安全なくだものを届けたいという思いが強い。
「うちは贈答用が多く、リピート率も高いんです。さらに送られた人がまた他の方に送って美味しさを広めてくれます。お客様が口コミでどんどん広まっていくので。ありがたいですね」と安斎さん。
近年、農家の高齢化や後継者問題が深刻と言われるが、将来のことについてたずねてみると…
「まずはたくさんのお客様に品質がよく美味しいくだものを届けたいです。キャリア的には20年経っていますが、まだまだ勉強しないといけないし、試行錯誤の連続だと思っています。いつまでもいいくだものを届けたい。その一心で続けていきたいですね」
楽しんで果樹栽培に取り組む。そうした生産者がいる限り、福島のくだものはますます美味しさが増すにちがいない。
生産者インフォメーション
株式会社 安斎果樹園
WEB | https://anzai-kajuen.com/ |
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住所 | 福島県福島市飯坂町字小川15番地 |
TEL | 024-542-1465 |